自己破産における専門家の役割2
自己破産の申し立てを弁護士に依頼する大きな理由は,借金ができた経緯や理由,借金の状況,財産の状況,家計の状況等を,正確に把握して裁判所に説明できる点です。
しかし,弁護士に依頼することのメリットは,他にもあります。
自己破産の最大の目的は,免責を得て,借金から解放されることです。
しかし,法的には,いわゆる「免責不許可事由」というものに該当すると,裁判所が免責を許可しない可能性があります。
免責不許可事由には様々なものがあります。
・借金を作った原因が,ギャンブル,浪費,投機的取引である。
・名前や職業等を偽って借入れをしたり,クレジットカードで買ったものをすぐに換金したりした。
・特定の債権者に優先的に返済した。
・返済ができないのを分かっていて借入れをした。
・財産を不当に安い値段で処分した。
といったものが主に挙げられます。
これらは,支払いに窮した多重債務者が陥りやすいことでもあり,仮にこれに類した事実がある場合には,裁判所にその詳細を説明せねばなりません。
その上で,なぜそのようなことをしたのか,現在は反省しているのかなどを丁寧に裁判所に説明し,免責が得られるようにしなければなりません。
いわば裁判所を説得することが必要になるので,そうした場合には法律的な知識を備えた弁護士が必要になってくるのです。
これらのことを弁護士抜きでもできる自信がある,という方には必要ないかもしれませんが,自己破産を弁護士に頼んだ方が,手続がはるかに早く進み,免責も得られやすいといえるでしょう。
ただし,免責不許可事由に該当する事実の程度があまりにひどい場合には,弁護士に依頼したとしても,免責されない可能性もあります。