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「実刑・執行猶予・罰金・前科等」に関するお役立ち情報
執行猶予が認められる基準とは
1 執行猶予とは
執行猶予とは、被告人が社会生活の中で更生が期待できる場合に、刑の執行を猶予する制度のことを言います。
2 実刑判決と執行猶予付き判決
刑事裁判の有罪判決には、実刑判決と執行猶予付き判決の2種類があります。
どちらも有罪の判決ですが、実刑判決の場合は、判決が確定すると直ちに収監されてしまうのに対し、執行猶予付きの判決の場合は、判決が確定しても直ちには収監されず、元の社会生活に戻ることができます。
そして、執行猶予付き判決の場合は、執行猶予期間中に別の罪を犯さなければ、刑が免除されます。
3 刑の「全部」の執行猶予と「一部」の執行猶予
刑の執行猶予には、執行猶予期間を満了すれば刑の全部が免除される「全部」の執行猶予と、刑期の一部は実刑とし、一部は執行猶予とするという「一部」の執行猶予があります。
例えば、「被告人を懲役3年に処する。この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。」という判決の場合は、4年の間、罪を犯さなければ、懲役3年という刑が全部免除になりますので、これは「全部」の執行猶予付きの判決です。
これに対して、「被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役1年の執行を2年間猶予する。」という判決の場合は「一部」の執行猶予付き判決です。
この場合、2年間の懲役刑の後、残り1年間が執行猶予となり、2年の間に罪を犯さなければ残り1年の懲役刑が免除になります。
4 執行猶予が認められる基準(執行猶予の要件)
⑴ 刑の全部の執行猶予が認められるための要件(刑法25条)
以下の①~③に該当する場合は、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができます。
- ①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき
- ②前に禁錮以上の刑に処せられたことがあるものの、その執行を終わった日またはその執行が免除された日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき
- ③前に禁錮以上の刑に処せられたことがあるもののその刑の全部の執行を猶予された者が、1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるとき
ただし、執行猶予期間の保護観察中にさらに罪を犯した場合には、執行猶予は付きません。
⑵ 刑の一部の執行猶予が認められるための要件(刑法27条の2)
以下の①~③に該当する場合は、情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときは、1年以上5年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができます。
- ①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役若しくは禁錮の言渡しを受けたとき
- ②前に禁錮以上の刑に処せられたことがあるものの、その刑の全部の執行を猶予された者が、3年以下の懲役若しくは禁錮の言渡しを受けたとき
- ③前に禁錮以上の刑に処せられたことがあるものの、その執行を終わった日またはその執行が免除された日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が、3年以下の懲役若しくは禁錮の言渡しを受けたとき