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刑事事件における故意と過失とは

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2023年12月27日

1 故意と過失

刑事事件では、「故意」と「過失」という概念があります。

刑事事件における故意とは、条文上では「罪を犯す意思」(刑法38条1項)と表現されますが、具体的には、自己の犯罪を認識し、かつ認容していることを指します。

認識と認容の両方が必要であり、例えば、相手をナイフで刺す行為によって相手が死亡したという結果の「認識」があるだけでなく、相手が死んでもよいと「認容」している場合に殺人の故意が認められます。

これに対し、刑事事件における過失とは、犯罪事実の認識・認容はないものの、結果の発生を予見し、その発生を回避することができたのに回避義務を怠ったことを指します。

2 刑事事件では故意犯処罰が原則

刑法38条1項では「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」と定めています。

この規定は、刑事事件では、故意がなければ原則処罰されないことを意味しており、重要な規定です。

例外的に、法律に特別の規定があれば過失犯も処罰することとし、例えば、過失傷害罪(刑法209条1項)、過失致死罪(法210条)、過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)などがこれに該当します。

3 故意の有無をどのように判断するか

相手をナイフで刺して相手が亡くなった場合、相手を怪我させるつもりであって、死んでもかまわないといった認容がなければ、殺人の故意はなく、殺人罪は成立しません。

しかし、相手を殺すことについて認識・認容がなかったと供述すれば、ただちに殺人の故意が否定されるわけではありません。

実務上、状況証拠も踏まえて殺人の故意を認定します。

状況証拠は多岐にわたりますが、殺人の故意については、実務上、創傷の部位(身体の枢要部か等)・程度(攻撃の強さ、回数等)、凶器の種類(刃物か否か、刃渡りの長さ等)・用法、動機の有無(深い怨恨の有無等)、犯行前後の言動などの状況証拠が重視されます。

4 弁護士にご相談ください

故意の有無は犯罪の成否や量刑の程度に大きく影響するため、事案に応じて、しっかりと争っていく必要があります。

刑事事件でお困りのことがあれば、まずは、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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