てんかんで障害年金が受け取れる場合
1 てんかんで障害年金を受け取るための要件
てんかんは、障害年金の支給対象とされる障害の一つであり、各要件を満たせば、障害年金を受け取ることができます。
障害年金を受け取るための要件には、①初診日要件、②納付要件及び③障害状態要件(障害の程度が等級に該当していること)、の3つがあります。
このうち③に関して、どの程度の障害があれば等級に該当するといえるかについて、以下、ご説明します。
2 てんかん発作の4つのタイプについて
てんかん発作は、発作による意識障害の有無や危険性の程度の観点から、4つのタイプに分けることができます。
「A 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」、「B 意識障害の有無を問わず、転倒する発作」、「C 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作」及び「D 意識障害はないが、随意運動が失われる発作」です。
これらの4つのタイプを前提に、後述3で、各等級に相当する障害の状態についてご紹介します。
3 各等級に相当すると認められるものの一部例示
- ⑴ 1級
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十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの
- ⑵ 2級
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十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの
- ⑶ 3級
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十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの
4 てんかんの障害認定のポイント
てんかんの障害認定にあたっては、その発作の重症度(意識障害の有無、生命の危険性や社会生活での危険性の有無など)や発作頻度だけで判断されるわけではありません。
これに加えて、発作間欠期(てんかん発作がおさまっているときのこと)における、てんかんに起因する精神神経症状や認知障害によって、日常生活や仕事にどのような支障が生じているといった点も考慮されます。
診断書に、日常生活にどの程度の支障が生じたか、日常生活能力がどの程度あるかを記載する欄がありますので、医師に、これらの点について不備なく記載していただくことが大切です。
もっとも、医師は、患者と一日中一緒にいるわけでないため、日常生活における支障内容などを正確に把握しているわけではありません。
そのため、医師に診断書の作成を依頼する際には、診断書に適切に反映されるよう、あらかじめ、日常生活における支障内容を書き出したメモなどをご用意しておくことよいです。
医師に渡すメモについてどのような事項を書き出したらよいかなど、ご不明な点等あれば、障害年金に強い弁護士や社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。
なお、てんかん発作について、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制されていることがあります。
この場合、原則として障害年金の認定の対象になりません。
前述3のとおり、十分な治療を受けているにもかかわらず、てんかん発作が生じている場合が認定の対象となります。
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