相続放棄の有無の照会
1 相続人が相続放棄をしたかを調べることができる
他の相続人が相続放棄をしたかどうかについては、相続人や亡くなった方(被相続人といいます)の債権者であれば、調べることができます。
相続放棄は、必ず家庭裁判所で手続を行いますので、家庭裁判所には相続放棄をしたか否かの記録が残っています。
そこで、具体的には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、必要書類を送ることになります。
被相続人の最後の住所地は、戸籍の附票を確認すればわかりますので、市区町村役場に行き、戸籍の附票を取得する必要があります。
この調査(照会といいます)について、裁判所に払う手数料はかかりません。
以下では、相続人が裁判所に対して相続放棄の有無の照会を行う場合と、債権者が照会を行う場合とに分けて、基本的に必要となる書類について、ご説明します。
なお、家庭裁判所ごとによって、必要書類が若干異なる場合がありますので、詳しくは、家庭裁判所にお尋ねいただくか、弁護士等の専門家にご相談ください。
2 相続人が調べる場合の必要書類
相続人が調べる場合、基本的に以下の書類が必要になります。
- ① 照会申請書
- ② 被相続人等目録
- ③ 被相続人の住民除票(本籍地が記載されたもの)のコピー
- ④ 申請者の住民票のコピー
- ⑤ 相続関係図
- ⑥ 被相続人の戸籍謄本のコピー
- ⑦ 申請者の戸籍謄本のコピー
- ⑧ 切手が貼られた返信用封筒
この書類のうち、①照会申請書②被相続人等目録については、裁判所のホームページで取得することができます。
また、⑤相続関係図については、不要な場合もあります。
⑧切手が貼られた返信用封筒については、裁判所から申請者に結果を郵送するための封筒です。
3 債権者等が調べる場合の必要書類
次に、被相続人にお金を貸していた方など、被相続人の債権者が相続放棄の照会を行う場合の必要書類は、以下のとおりです。
- ① 照会申請書
- ② 被相続人等目録
- ③ 被相続人の住民除票(本籍地が記載されたもの)のコピー
- ④ 申請者の住民票のコピー(個人の場合)
- ⑤ 相続関係図
- ⑥ 利害関係を証する資料(被相続人との借用書などの契約書等)
- ⑦ 切手が貼られた返信用封筒
①照会申請書及び②被相続人等目録については、相続人が相続放棄の照会を申請する場合と同じです。
相続人が照会する場合と異なる点として、債権者が法人(会社など)の場合は、④住民票のコピーの代わりに、当該法人の資格証明書のコピーが必要になります。
また、⑥利害関係を証する資料として、被相続人にお金を貸していた場合は、借用書、金銭消費貸借契約書、過去に裁判手続や支払督促等の手続を執っている場合には債務名義などのコピーが必要です。
なお、相続人以外の者に相続放棄の照会が認められるのは、利害関係がある場合に限られますので、利害関係を証明する資料が何もない場合は、照会が認められない可能性が高いです。
債権者が相続放棄の有無の照会を行う場合に代理することができるのは弁護士のみですので、手続方法がよくわからない場合は、弁護士に相談しましょう。
相続放棄のお悩みは弁護士にご相談ください 相続放棄の熟慮期間